下町ロケット

池井戸潤 
★★★★★ ★★★☆☆

小説的には普通すぎるのかもしれない、でも、良くできた普通ってのは、名作ってことだ。
企業小説にありがちなどうでもいい下ネタなんぞ一切無く、ただひたすらに男たちの仕事っぷりが描かれている。
大人たちだって夢に向かって生きるべきなのだ。 

下町ロケット

月と蟹

道尾秀介 
☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆

微妙すぎて……。
直木賞を受賞した男性作家の作品で、ここまで自分に合わなかったのは初めてのことだった。
これまで、直木賞作家・作品は及第点以上であることが当たり前になっていたので、なんの疑いもなく読みきれるものだと思い込んでいた。
好みによっては――というのがあったとしても、直木賞をとるような作家・作品ならば、「好みではないが読めてしまうほどの力」に引っ張られていたように思う。
しかし、この「月と蟹」では 30~40頁あたりで既に気怠くなり、なんとか読み進めようと気持ちを入れても結局は 63頁で本を閉じることになってしまった。
自分の体調に問題があったのかなあ……。
芥川賞受賞の二作品が読めて、まさかこっちの直木賞受賞作品が読めなかったというのは、本当に意外すぎる結果となった。

新世界より

貴志祐介 
★★★★★ ★★★☆☆

上下巻で 1000頁にもなる長編大作。
そのためか、導入部で 150頁ほど退屈な設定描写が続く。
これを乗りきらないことには何も始まらず、独特の固有名詞や用語、難漢字もそれなりに出てくるので、読み始めからしばらくは忍耐強く読み進める必要があった。

中盤、バケネズミとの絡みで展開が加速していく。
その辺りから漫画的というかアニメ的というか、AKIRANARUTOなんかが脳裏にちらちらと浮かんだりしつつ、読書ペースも加速。
終盤、臨場感ありまくりの描写と展開に引き込まれる。

読後感はすっきりしたもので、そのせいか物足りなさも多少あるのだが、それはこの物語が綺麗にまとまって収束しているせいもある。
手記という体での語りなのもあってか。
そこは好みの問題になるのだが、この世界観や登場人物たちの生き様に濁りや淀みが無いせいなのかもしれない。
それだけこの非現実世界を納得させられているわけだから、やっぱり凄い小説なのだとは思う。
でも、納得できない胸糞悪い後味というのもまた欲しいわけで……悪趣味すぎるか。

一冊にまとまったノベルス版はリーズナブルで良いのだが、1000頁近くもあり分厚いので読みにくい。
じっくり読むならハードカバー版を、手軽に読むなら文庫版がお勧め。

Dvorak:交響曲第9番 「新世界より」 「第2楽章」
http://www.youtube.com/watch?v=ZCrgvSYmvwU

設定資料としてこれを見ながら読むと便利。
http://ja.wikipedia.org/wiki/新世界より

苦役列車

西村賢太 
★★★★★ ★☆☆☆☆

中盤で、
「――理不尽だ」
このあたりの自問や悪態、表現の勢いは非常に笑える。

きことわ

朝吹真理子 
★★★★★ ☆☆☆☆☆

物凄く狭い作品。
芥川賞らしいといえばらしいのだが、著者の半径1.5メートルくらいが射程になっている近視的読感。
一般向けとしては、20~30代くらいの女性で人付き合いが少し苦手だったタイプの人が読めば嵌るのかな。
これをおっさん(自分)が読んでもねぇ……頑張ったけど。

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