新世界より

貴志祐介 
★★★★★ ★★★☆☆

上下巻で 1000頁にもなる長編大作。
そのためか、導入部で 150頁ほど退屈な設定描写が続く。
これを乗りきらないことには何も始まらず、独特の固有名詞や用語、難漢字もそれなりに出てくるので、読み始めからしばらくは忍耐強く読み進める必要があった。

中盤、バケネズミとの絡みで展開が加速していく。
その辺りから漫画的というかアニメ的というか、AKIRANARUTOなんかが脳裏にちらちらと浮かんだりしつつ、読書ペースも加速。
終盤、臨場感ありまくりの描写と展開に引き込まれる。

読後感はすっきりしたもので、そのせいか物足りなさも多少あるのだが、それはこの物語が綺麗にまとまって収束しているせいもある。
手記という体での語りなのもあってか。
そこは好みの問題になるのだが、この世界観や登場人物たちの生き様に濁りや淀みが無いせいなのかもしれない。
それだけこの非現実世界を納得させられているわけだから、やっぱり凄い小説なのだとは思う。
でも、納得できない胸糞悪い後味というのもまた欲しいわけで……悪趣味すぎるか。

一冊にまとまったノベルス版はリーズナブルで良いのだが、1000頁近くもあり分厚いので読みにくい。
じっくり読むならハードカバー版を、手軽に読むなら文庫版がお勧め。

Dvorak:交響曲第9番 「新世界より」 「第2楽章」
http://www.youtube.com/watch?v=ZCrgvSYmvwU

設定資料としてこれを見ながら読むと便利。
http://ja.wikipedia.org/wiki/新世界より